この記事では、2017年9月に発行されたPMBOK第6版と、それに伴うPMP試験の改訂スケジュールについてご紹介します。
かねてから噂されていた通り、2017年9月にPMBOKが改訂されました。PMBOKとは、PMのバイブルにして、PMP試験の出題範囲と密接に関連する文書です。この記事では、大きな改訂ポイントと、PMP試験への影響についてご紹介しています。
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PMBOKの改訂について
PMBOK6版は、アジャイル開発に関する記載が大幅に追加されました。とはいえ、基本的な部分はけっこう変わっていない印象です。PMBOK5版では「47のプロセス」として記載されていたプロセスが、「49のプロセス」に増えました。無くなったもの・新規追加されたもの・名称変更したものなどがあります。監視・コントロールフェーズにおいて、これまで「〜コントロール」だったのが「〜監視」になったりするものがあったりで、5版から勉強し直すヒトは要注意です。
名称変更されたプロセス
2つの章が名前を変えました。より直感的になりました。
- タイム・マネジメント(Time Management)は、スケジュール・マネジメント(Schedule Management)に変更
- 人的資源マネジメント(Human Resource Management)は資源マネジメント(Resource Management)に変更)
です。タイムとスケジュールはこれまで混在していた印象なので、スッキリしたと思います。
資源はいわゆるヒト・モノ・カネに拡大解釈されるようで、これまでの「人的資源」を指す場合は「チーム資源」と言うようです。
新たに追加された部分
これまで、それぞれの知識エリアにおいて、ツールと技法、インプット・アウトプットというものがありました。今回の改訂では、それぞれの章で、詳細に入る前に新しい説明が増えました。
- 主要概念 (Key Concepts)
- 傾向と新たな実務慣行(Trends and Emerging Practices)
- テーラリングの考慮事項(Tailoring Considerations)
- アジャイル型環境や適応型環境への考慮事項(Considerations for Agile/Adaptive Environments)
最初に1.主要概念を読むことで、例えばプロジェクト統合マネジメントは何をすることなのか、理解できます。
そして2.傾向と新たな実務慣行(ここでいう傾向とは最新トレンドのこと)を読むことで、最近のプロジェクトではこの章はどういう扱いになっているのか、理解できます。
さらに3.テーラリングの考慮事項を読むことで、この章を現実世界のプロジェクトに適用するさいにどういうことを考えれば良いのか、というアイデアを得ることができます。
最後に4.アジャイル型環境や適応型環境への考慮事項で、古典的なウォーターフォールではない状況でどうこのPMBOKの記載を解釈するのか、ヒントをあたえてくれます。なお、6版のキーポイントの一つがアジャイル(と適応型)のプロジェクトヘの言及です。より多くのプロジェクトがアジャイル式に運営されているので、どう折り合いをつけていくのか、試行錯誤しているところでしょう。
今回の追加記載によって覚えることが多くなるかもしれないけれど、淡々と「インプットは〜で、ツールと技法は〜で…」と列挙されていた前のバージョンよりわかりやすいと思いました。
PMP試験の改訂スケジュールについて
PMBOKの6版発行にあたり、当然ながらPMP試験も改訂されることが決まっています。とはいえ、6版を発行してすぐに改訂とはいかないので、約半年の準備期間が設定されました。
新しい試験は2018年3月26日から施行されるようです。
建前としては「PMP試験はPMBOKの試験ではない」けれど、「試験の主要な参考情報」ではあるので、PMBOK6版への対応にともなって、用語などが大幅に変更されるようです。
(英語版で変わるので、日本語版の訳はしばらく大変そうな気がしています)
PMBOKガイド6版の入手方法
ここまで変更の概略を述べてきましたが、最後に本物のPMBOK(ガイド)の6版を入手する方法をご紹介します。
PMI会員ならば、PMBOK 6版のPDF版を無料でダウンロードできます。PDFは本人(会員)の名前入りで、パスワードがかかっているので、他人とシェアはできません。なお、英語でも日本語でも他の言語でも好きなバージョンを好きなだけ見られます。
試験を受けようとしているヒトは、試験料が割安になるのでPMI会員になると思います。会員になって支払いを済ませてしばらくすると、画面上の”PMBOK Guide & Standard”というメニューからダウンロードできるようになるので、忘れずにゲットしておきましょう。(PMI退会してもPDFは見られます)
印刷されていないとどうも読めない、という方はPMI経由で買うこともできますが、10月まで販売されないようです。
なお、現在日本語で入手できるのはPMBOKガイド6版です。英語版は6版に「アジャイル実践ガイド」という巨大な別冊がついてますが、このアジャイル実践ガイドの翻訳版は後日提供とのことです。
なお、PMBOKガイド5版の書籍バージョンはAmazonでも購入できたので、6版の書籍バージョンもしばらくするとAmazonで販売されるかもです。
基本的に辞書みたいに分厚くて淡々と事実が記載されているだけなので、通しで読むのは苦行です。ただ、試験を受ける方やPMBOKに精通する必要がある仕事のヒトは、PDFでも書籍でも入手して、都度参考にすると良いです。
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- PMBOK, プロジェクトマネジメント