この記事では、会社の補助を活用してPMP試験を受験するときの注意事項として、PMI会員に入会した場合としなかった場合のコスト比較をしています。

 

ここ最近、「会社に言われてPMPを取得する、受験料は会社が負担してくれるんだ」という方の話を聞くことが何度かありました。話をきいてみると、自費で受験をするときと微妙に考え方が違うようなので、一番良い方法は何か、かかる費用に着目してご紹介します。

混乱しないように、PMIのアカウントと会員

受験料について説明する前に、やや混乱しやすいPMI会員について説明します。

PMPを受験するためには、PMIのサイト(pmi.org)でREGISTER(会員登録)をしないといけません。

多少の個人情報(メアドや名前など)を求められますが、会員登録は無料です。

この会員登録をしたうえで、PMP試験の申請をします。この際に、経歴を含む詳細な個人情報(出身大学、勤務地、受講したPMP研修の詳細など)を記入します。

ちなみに、PMPの受験にかかわらず、年会費を払うことでPMIの会員になることができます。ヤヤコシイので、以降「PMIの有料会員」と表現します。

PMIのサイトでは、(受験のために)アカウントを作っただけの会員と、年会費を支払って会員になった有料会員を、それぞれRegistered UserとPMI Membershipという表現で区別しています。

 

PMI Membership(有料会員)だけの主な特典は次のようなものがあります。

  • 無料でPDF版のPMBOKガイドがダウンロードできる
  • 1000を超えるプロマネのツールやテンプレートがダウンロードできる
  • PMI会員だけの転職情報が見られる
  • PMP資格を継続するために必要なPDUが得られる無料の研修が提供される

…などなどです。年会費は129ドルで、手数料という名目のナゾのコストも請求されるので実質139ドルです。(PMI/PMPは原則アメリカ・ドル建てでの支払いです)

この年会費を払う価値は、PMBOKのPDF版(多言語、日本語ももちろんある)がダウンロードできることです。なお、PDFには会員の氏名が記載され、印刷は不可、パスワード保護により他人と共有できなくなっています。また、正直、ツールやテンプレート、転職情報や研修はあまり利用価値がないです。

でも、この年会費を払ってPMIの有料会員になる価値はもう一つあります。

 

会員vs非会員、PMPの受験にかかる費用

上の説明には書いていないけれど、PMIの有料会員の最大の特典は、「PMP試験の受験料が割引になる」ところです。

PMI有料会員にならなくてもPMP試験は受験できるけれど、年会費を払ってPMI有料会員になって受験した方が、総支払額は安いんです。

PMIに年会費を払わずにPMPだけ受験すると、$555です。でも、有料会員になった人は受験料が$405になります。年会費$139ドルとあわせて考えると、$11お得なんです。

表にするとこんな感じです。

PMI会員年会費 PMP試験受験料 総額
通常会員

(Registered Member)

$0 $555 $555
PMI有料会員

(PMI Membership)

$139

(手数料込み)

$405 $544

さらに、ネガティブなことはあんまり考えたくないのだけど、PMPに不合格になって再挑戦する場合、有料会員に有利になっています。

 

不合格になった場合の再受験料は、会員・非会員ともに少し割引されます。

非会員の場合、再受験料が$375、PMI有料会員だと、$275ドル、つまりPMI有料会員は100ドルも受験料が安くなります。

3回受験することを想定すると、総額211ドル、2万円以上も安くなるんです。(3回受験すると10万円以上かかってますが…)

というわけで、自分のお金で受験する場合、特典がショボかろうと、会費が高額だろうと、PMPを受験する人は、絶対にPMI有料会員になった方がお得です。(なお、2年目以降に年会費を支払う価値は一切ないです)

 

会社が受験料を負担してくれる…何がベスト?

PMPの資格を推奨している一部の会社では、合格奨励金を払ってくれたり、受験料を負担してくれるところがあるでしょう。

ある人は「会社が受験料負担してくれるから、PMI会員にはならない」と言ってました。

確かに、自己負担じゃない場合、会員にならなかった場合、自分の懐は痛まないです。もしかすると会社のポリシーによっては「受験料は支払うけれど、年会費は支払わない」と言ってくるかもしれません。

そうなった場合は、メリットを説明して、年会費も会社負担にしてもらえるよう交渉してみましょう。

アピールすべきメリットは2つです。

  • PMI有料会員になると、勉強を効率的に進めるための教材(PDF版のPMBOKガイド)が手に入る。
  • PMI有料会員は、受験料が結果的に割安になるので、会社の負担金はトータルでは下がる。

前者は、PMP取得後も業務にPMBOKの知識を活用する際の有効なツールになる、というメリットもあります。丸暗記しても結局忘れていくので、常に手元にある辞書として使えるのはかなり便利です。

後者は「ただし初年度の年会費だけ」という譲歩をしておくと、「あくまで受験料を安くするための措置」という建前が通りやすくなるはずです。

 

まとめ

PMP試験は、年会費払ってでも、PMI有料会員になって受験した方が安い。

PMBOKガイドのPDFも入手できるので、人事が「受験料しか出さない」と言っても、トータルコストの安さなどを交渉材料に、初年度のPMI年会費も受験料に含めてもらった方が良い。